我々はなぜ「出荷検品」に着目したか コラム
こんにちは。学研ロジスティクス ITシステム部 林です。
i3 Handyの開発をメインに担当しています。
今後、このコラムを定期的に記載していきます。何卒宜しくお願い致します。
せっかくなので、コラム第1号の記事として、なぜ「i3 Handy」の1号製品が「出荷検品」だったのかについて、軽くご紹介させていただきます。デジタル検品の重要性について、ご理解いただければと思っています。
弊社ITシステム部は、自社物流を担うシステムの運用、保守を行っている部署なのですが、自社物流作業効率化のため、自社内でアプリケーションを開発するという、あまり他社にはない(かもしれない)文化があります。本ホームページで紹介している検品システム「i3 Handy」もそんな中から生まれました。
ではなぜ我々は数々ある物流会社における物流機能のうち「出荷検品」に着目したのでしょうか。
それは、検品というものが、物流工程の最終段階で、出荷商品の数が注文と相違ない事を確認する作業であり、荷主より荷物を預り、出荷作業を行う我々物流業者にとっては、出荷の正確さは信頼に繋がるいわば「生命線」だからです。つまり最低限、間違いのない出荷が出来れば、荷主さまやエンドユーザー様からの信頼を獲得することができます。
ですが、これを目視検品で実現することは非常に難しいのが現状です。
誤出荷率 (ppm:100万分の1) |
目安となる指標 |
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>1000ppm | アナログ物流センター(目視検品) |
100~1000ppm | アナログ物流センター(目視検品・熟練) |
50~100ppm | 一般的なロジスティクスの指標 |
10~50ppm | デジタル倉庫の品質(i3Handyで実現するのはこのあたり) |
5~10ppm | 完全オートメーションの物流センター |
表:誤出荷率の実例
目視検品である以上1000ppm、すなわち1000件に1回は誤出荷が発生するリスクがあるのが現状であり、これをダブルチェックしたり、検品者が熟練者になったとしても、400ppm以下(2500件に1回)に抑えるのはなかなか難しいものがあります。そして誤出荷があるたびに、3PL業者であれば荷主様への、メーカー様であればエンドユーザー様へのサポート、リカバリのコストが発生します。これが10万件に1件、ひいてはゼロになったらどうでしょうか。
整理すると、デジタル検品を導入する意味は3つあります。
- 検品という作業が「熟練度」「経験」に関係なく、誰でも間違いなく出来る作業になる
- 職人技に頼らずに検品が出来るので人員配置の自由度もあがる
- 何より正確な出荷はリカバリーサポートコストを下げ、荷主との信頼を保つことができる
この3つの事がいかに重要で尊く、そして人力作業では難しいか。物流に携わる方であればよくご理解されているのではないかと思います。そして、これを実現するデジタル出荷検品システムの多くが、しばしばWMS(倉庫管理システム)の機能の一部として提供されていて、利用にかかる下準備が大変なことも。
当然、多くの同業の方々が夢に見ているであろう、「今日借りた倉庫でも気軽に利用開始」という理想からは程遠い、というのが、今のデジタル検品システムをとりまく現状です。
これを解決しよう、というのが「i3Handy」のハンディ出荷検品の基本コンセプトです。
当然そのような使命をもって産声を上げたシステムですので、WMSで出来る出荷検品は、可能な限り実現しようとしています。
我々は、自身も含めた同業の物流企業の皆様の要求仕様に耐えるようなデジタル出荷検品をオフラインで実現するべく、日々製品開発を進めております。当然個別の物流案件に合わせたカスタマイズにも、物流に詳しい我々学研ロジスティクスのITシステム部のエンジニアが対応します。
もしこのコラムにたまたま最初にたどり着いた、という方は、ぜひ製品紹介ページもご覧ください。
そして、われわれと、これからの検品のお話をしましょう。